借地上の住宅の建て替えたいが、地主さんが承諾してくれないとき

1.借地上の住宅の建て替えたいが、地主さんが承諾してくれなくてお困りの方

また、次のような借地に関するご相談にお答えいたします。

①.借地にある住宅が古くなったので、建て替えたい。

②.借地にある住宅を2世帯住宅に、建て替えたい。

③.借地にある住宅をアパートに建て替えたい。

④.周りはマンションが多いので、借地にある木造の店舗を、店舗付き
 の賃貸マンションにしたいのですが。

⑤.借地にある住宅を売りたいのですが。

このようなケースで地主さんに相談に行ったが、地主さんから承諾の返事を頂けなくて、お悩みの方へ。

2.裁判所の借地非訟という制度の利用をお勧めします。
 上記のような場合、基本は、地主さんとの話し合いを通し、
 お互いに納得の上、地主さんの承諾を得て、
 建て替え等をすることになるのですが……… 

昭和の頃に最初の借地契約を結び、
その後長い年月を経て、建物は老朽化し、
地主さんも、借地人もそれぞれ世代交代し、
先代の地主、借地人にあった親しい関係も希薄になり、
さらに高度経済成長期を経て、
地価は当時の数十倍と上昇し、
その割に地代は契約当初から少ししか上がらず、
更新料の支払いでもめたことも、

  このような借地特有の歴史的経緯や背景により、
  地主さんとの関係も疎遠になり
  承諾を頂けない場合もあります。
                   
3.借地非訟事件の種類
そこで裁判所では借地非訟事件として下記の事件を扱っています。

①借地条件変更申立事件(借地借家法17-1)
②増改築許可申立事件(借地借家法17-2)
③土地賃借権譲渡・転貸許可申立事件(借地借家法19-1)
④競売又は公売に伴う土地賃借権譲渡許可申立事件(借地借家法20-1)
⑤借地権設定者の建物・賃借権譲受申立事件(借地借家法19-3、20-2)

4.借地非訟事件実例

□今の古い木造家屋を同程度の
 面積の住宅に建て替えたい。       ②増改築許可申立事件

□今の古い木造家屋を        ①借地条件変更申立事件
 アパートに建て替えたい。       ②増改築許可申立事件

□今の古い木造家屋を、売却し    ②増改築許可申立事件
 買主が住宅を建てる計画。      ③土地賃借権譲渡可申立事件
                   ⑤借地権設定者の建物・
                   賃借権譲受申立事件

□今の古い木造家屋を、売却し    ①借地条件変更申立事件
 買主がアパートを建てる計画     ②増改築許可申立事件
                   ③土地賃借権譲渡可申立事件                  
                   ⑤借地権設定者の建物・ 賃借権譲受申立事件

  上記申立ごとに、許可及び財産上の給付等が決定されます。



このように借地非訟事件の申立は、
建物の種類(住宅・店舗・アパート等)
建物の構造(木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造等)
建物の規模(床面積・階数等)
さらには借地権の売買、賃貸と、
多岐にわたっています。

 申立のなかには、数十戸の部屋数のアパートを建てる
 ものもありましたが、このケースは、建築基準法や道路の
 制約により、計画を断念しました。

 また、一つの土地を二つに分割のうえ売却する
 (ここまでできるんですか)というようなケースもありました。

なお、借地非訟の実務に関する文献を挙げておきますので、
興味のある方は参考にしていただければと思います。

□詳解 借地非訟手続の実務 
    編集 東京地裁借地非訟研究会  新日本法規
    *この本は現在絶版になってます。

□借地非訟手続の実務 
    編集 植垣勝裕  新日本法規   
    *前の本の後継本

□借地非訟の実務 2003年10月改定新版 
    大阪弁護士協同組合

 

kendou218