遺産分割で不動産の評価が必要になるとき

遺産分割で不動産の評価が必要になるとき


 

不動産の分割方法
 

 1.現物分割 長男は自宅、二男はアパートといったように不動産を
       そのまま現物で分ける方法

 2.代償分割 長男が自宅不動産をもらう代わりに、長女に自分の
       現金を渡すように、特定の相続人が遺産を取得し、
       他の相続人に現金等を渡す方法

 3.換価分割 不動産を売却してお金に換えたうえで分ける方法

 4.共有分割 自宅マンションを妻が1/2,長女が1/2相続する,とい
       うように不動産を相続人間で共有する分割方法


 

評価の基準となる時点
 

 地価が大幅に上昇している時期や、バブル崩壊後の下落期には
 価格が大きく変動しますので、実務では実際の遺産分割時
 基準とします。

 バブル崩壊時には下落の勢いが早く、いざ売却しようとしても、
 買い手がいなく、国に不動産の物納を申請するケースが増加し
 たこともあります。

 特別受益や寄与分が問題となる場合には、相続開始時(被相続人
 死亡日)となります。

 当然ですが、相続人間で合意があれば、自由に決定できます。

 

 

      
□評価が必要となる分割方法
 現物分割と代償分割の場合には、現物で取得した不動産の価値や
 代償金額の判断材料として、評価が必要となることもあります。
 一方、換価分割や共有分割の場合は、原則として評価は不要です。

では、相続財産として評価の対象となる不動産とは、どんなものがあるのでしょうか。

 1.土地のみ
  a.宅地
   ⅰ.市街化区域内の宅地
    ィ.住宅地
    ㇿ.商業地
    ㇵ.工業地

   ⅱ.市街化調整区域内の宅地
  b.畑、田、果樹園等の農地
   ⅰ.市街化区域内の農地 
   ⅱ.市街化区域内の生産緑地 
   ⅲ.市街化調整区域内の農地

  c.山林

 2.建物及び敷地
  a.自用の建物と敷地
    ィ.戸建住宅
    ㇿ.マンション
  b.貸家とその敷地
    ィ.アパート
    ㇿ.貸ビル
    ㇵ.事業系貸物件(病院、老人ホーム等)
  c.使用借権付建物(親戚から無償で土地を借りて建てた建物)
  d.使用借権の負担のある土地 (親の土地に子供が家を建てた)

 3.借地権 
  a.普通借地権
  b.定期借地権

 4.底地
  a.賃借権設定地(借地権が設定されている土地の所有権)

  b.地上権設定地(マンション等の敷地として長期間にわたり貸
          し出されている土地で、地代無償というのも
          ありました。これも相続税対象です。) 

 

 

 


 

□評価が必要となるとき


 
1.調停
    不動産の価格について相互に争いがあり、
    当事者間に合意が成立しないときに、
    裁判所が鑑定人を選任して不動産鑑定を実施。
 
   また調停内でも鑑定書を提示する方もいます。
    その評価の内容が、合理的、客観的な場合には主張の
    裏付けとなります。

  

2.裁判
   調停が不調になり裁判に進んだ場合、調停と同じく
    裁判所が鑑定人を選任して不動産鑑定を実施。

     この場合、既に相互に鑑定書をとっている場合もあり、
    それぞれの価格の妥当性を主張されます。
 

kendou218