借地相談の共通点
毎年春と秋の二回開催される(社)神奈川県不動産鑑定士協会主催の無料相談会に参加させて頂き、もうかれこれ15年ほどたちます。
不動産に関する様々な相談が寄せられますが、一位番多いのは借地に関する相談で、
- 更新料に関すること
- 支払い地代
- 借地権の相続・承継
- 建物の建替え等
が主なものと言えますが、いずれのご相談にも概ね共通することがあります。
それは地主・借地人の世代交代によって問題が発生するというか顕在化していることです。
川崎・横浜市内の借地開始時期は戦後の昭和30年代が多く、
最初の更新はそれぞれ本人同士のため特に問題なく更新し、
再更新そして建物の建替え時期を迎えて問題が発生するようです。
このときには当然、当事者も代替わりしています。
地主さんの転出によりお互い顔も知らないことさえあります。
契約開始から4、50年経てば人も社会も大きく様変わりします。
契約当時の昭和30年代頃は、土地を借りてくれと地主さんが、
一升瓶を片手にお願いに来たという話も聞いたことがあり、
このため当時は口約束での貸し借りも珍しくなかったといいます。
そのころは敗戦のため、国でさえお金が無い状況の中、
個人で建物を立てる人は少なく(銀行融資は日本の復興の為の法人を対象)、
地主・借地人の力関係が今とは違っていたといいます。
今、定期借地権の話をよく聞きますが、
一般定期借地権で契約期間が50年以上となっています。
今の年月はドッグイヤーといわれるように、
かつての50年よりさらに急速に時は過ぎますので、
もう私の想像の範囲を超えています。
以前「ALWAYS 三丁目の夕日」という映画を見ましたが、
あの時代設定がちょうど50年前で、(終戦後10年程経過した東京が舞台)
当時の東京を見たい人は参考にしてみてください。
これからの50年は私たちの生きた半世紀の何倍の速さで進むのかわかりませんが、
法律が時代に追い付かないのはいつの時代も同じかと思います。